貿易と漁業、町を支えた港力。
鹿児島県の北西部、東シナ海に面した40㎞もの海岸線、荒波が逆巻く中にそびえ立つ大小の岩礁。町の名の由来となった「英袮(あくね)」は、古代語で「アク=魚」「ネ=岩礁」を意味する古くからの港町。江戸時代になると中国との貿易港としても栄えるなど進取の気性が息づく町だ。漁港は、鯵(あじ)や鰯(いわし)、鯖(さば)など、主に近海物の青魚の水揚げで賑わいを見せる。春先からのキビナゴ、春の真鯛、冬場の平目(ひらめ)、他にも烏賊(いか)や海老(えび)、蛸(たこ)など、魚介類の豊富さが阿久根の自慢。海の幸を生かした加工品作りにも積極的に取り組んでいる。
日本人の食卓に新しい波を。
毎朝、新鮮な魚が手に入る阿久根では、昔から塩干魚作りも盛ん。獲れたての魚を手早くさばき、塩を振ったり秘伝のタレに漬け込み乾燥させる、シンプルな製法だけに奥が深い。特に青魚は脂ののりに合わせて乾燥時間を微調整しなければならない。味付けにも各店ごとの技が冴える。伝統的な干物に加え、パスタなど洋風化する食卓にあわせた新スタイルの塩干魚も作られている。